ノウハウコレクターをやめたい人へ:「周回」から「脱出」へ

ノウハウコレクターを自認している人は様々な困難を抱えていると思います。これだけ努力しているのに報われない。

果たしていつになれば、自分は成長する、飛び立つことができるのか・・・

ノウハウを集め続けてしまうのは、意思が弱いからではなく「失敗したくない」「確実にしたい」という防衛反応です。

問題は、頭の中で考えるほど安心は増えるのに、世界からの返事(外部反応)が入らず、次の一手を決める材料(確定情報)が増えないこと。だから同じ場所をぐるぐる回る“思考の周回”が終わりません。

この記事では、ショーペンハウアーの読書論パレートの法則を使い、そして第一・第二宇宙速度というアナロジーを用いて、努力の向きを少しだけ外へ向けて「小さく試して反応を取る」状態へ移し、少しずつ手を動かせるガイドを紹介します。

目次

  1. ノウハウコレクターは「悪癖」ではなく、意味のある防衛反応
  2. ノウハウコレクターが生まれる瞬間:頭の中の「周回」モデル
  3. ショーペンハウアー『読書について』:ノウハウコレクターの構造が丸見えになる
  4. 80:20(パレートの法則):努力を増やすのではなく「成果に効く場所」に移す
  5. 「分かった」は、行動の前じゃなく後に来る
  6. 外部反応がないと、確定情報が増えない(=周回が終わらない)
  7. 第一宇宙速度と第二宇宙速度
  8. 第二宇宙速度に必要なのは「大きな勇気」じゃない。「行動の最小化」
  9. 「読まない技術」を現代向けにする:ノウハウ摂取のルールを決める
  10. つまずき別の処方箋
  11. まとめ:あなたはすでに周回している。だから、あと少しで脱出できる
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ノウハウコレクターは「悪癖」ではなく、意味のある防衛反応

あなたは止まってない。ただ「同じ場所を回ってる」だけ

ノウハウコレクターの自認がある方へ。

本も動画もノウハウも、ちゃんと吸収している。
なのに現実が変わらない。成果が出ない。手が動かない。


この状態って、停止よりもむしろ 「周回」 に近いと思います。
頭の中では動いているし、忙しい。でも景色が変わらない。
同じところをぐるぐる回っている感覚。


もしこれがあなたの実感に近いなら、あなたは「無力」じゃない。
すでに動いている。
問題は、動き方が現実ではなく頭の中に偏っているだけです。

ここでは、それらの努力を否定せず、努力の配分を少しだけ変えて、
現実が動き始める側へもっていくための話をしていきます。

情報収集をやめたいのにやめられないのは、意思が弱いからじゃない

情報収集を「やめたい」と思うほど苦しいのに、やめられない。


この矛盾は、意思が弱いからではありません。むしろ逆で、ノウハウコレクター化しやすいのはこういう人です。

  • 真面目で、ちゃんとやりたい
  • 失敗のコストを知っている(時間・お金・メンタル)
  • 一度崩れると立て直しが大変だと分かっている
  • だから、より「確実性」を上げたい

つまり、ノウハウ収集は怠けではなく、確実性を上げるための努力なんです。
ただし、あるラインを越えると、努力の方向が成果ではなく安心に寄ってしまう。ここから苦しくなる。


この記事では、それらの努力を否定せずに、努力の配分を少しだけ変えて、現実が動き始める側へ持っていくための話をします。

ノウハウコレクターが生まれる瞬間:頭の中の「周回」モデル

まず、ノウハウコレクターの人たちによく起きる現象をモデル化してみます。

典型ループ(頭の中の周回)

  1. 調べる(安心する)
  2. 比較する(最適解に近づいた気がする)
  3. もっといい方法がある気がする(不安が戻る)
  4. 追加で調べる(安心する)
  5. 1.に戻る

ここで重要なのは、「調べる」が悪いことではなく、調べることが意思決定の代わりになっている点です。

  • 行動する=失敗するかもしれない
  • 決める=別の選択肢を捨てる(損するかもしれない)
  • でも調べる=損しない、失敗しない、知識が増える

だから脳が「調べる」を選びやすい。
結果、あなたは止まっていないのに、景色が変わらない。これが周回感です。


この周回は、頭が悪いから起きるわけじゃありません。
むしろ「理性的に最適化しよう」とするほど起きやすい。
そして、ここに次の罠が乗ります。

「準備」が増えるほど、最初の一歩が重くなる矛盾(サンクコスト効果)

ここは用意周到な人ほど陥る罠です。
準備は本来、行動を軽くするためにある。でも、準備が長引くと逆に重くなる。


なぜかというと、準備が増えるほど「ここまでやったんだから失敗したくない」が強くなるから。
つまり、準備が保険ではなく賭け金になっていく。賭け金が増えるほど、踏み出せない。


これ、心理学的には サンクコスト効果(埋没費用効果) と呼ばれます。
すでに費やした時間や労力が大きいほど、「失敗したら全部ムダになる」という痛みが先に立って、意思決定が保守的になる。


すると人は、行動の前にさらに準備を積み増して確実性を上げようとする。
でも皮肉なことに、その追加の準備が賭け金をさらに増やし、ますます踏み出せなくなる…


——準備が、行動を助ける保険から、失敗を許さない賭け金に変わる瞬間です。


「知の追求」が、いつの間にか「不安を鎮める儀礼」になってしまう。
知が、世界を開く鍵ではなく、現実に触れないための盾になる。


そしてショーペンハウアーは、この“盾化”を、別角度からかなり鋭く言い当てています。

ショーペンハウアー『読書について』:ノウハウコレクターの構造が丸見えになる

ショーペンハウアーの読書論が現代に刺さるのは、「読書の価値」を否定しないまま、読書が人を無力にする瞬間の構造を説明してしまうからです。
彼の強さは、道徳ではなくメカニズムで語るところにあります。


つまり「読むな」ではなく、「読むことが、どんな条件で思考と行動の代替行為になるか」を見抜くところです。

読書は「他人の頭で考える」——効率的だが、依存すると危険

ショーペンハウアーの趣旨はこうです。

読書中、私たちは自分で考えているようで、かなりの部分を他人の思考で代替している

これは短い言葉ですが、ノウハウコレクターの正体を説明していますね。

  • 自分で考える:遅い、しんどい、不安が増える
  • 読む:速い、整っている、安心する

疲れているほど、人は整った他人の言葉に救われます。
そして、その救いは本当に救いでもある。知識は武器だし、地図は必要だし、先人の失敗は学ぶ価値がある。

ただし、彼が警戒したのはここです。

読書が、思考の訓練ではなく「思考の外注」になってしまう瞬間。
外注してもいい。でも、外注だけで終わると自分の筋肉が育たない。
彼はそれを強烈なたとえで言います。「ずっと馬に乗っていると歩き方を忘れる」と警告します。


この比喩は、「読書をやめろ」ではなく、「歩く(自分で考える)時間も残せ」と言っているのです。
ノウハウコレクターは、まさにここにいることが多い。


歩く代わりに馬に乗り続ける。疲れているから。安心だから。
けど、いつの間にか歩けなくなる。


ここが怖いのは、読書が「善」として認められやすいからです。


悪習なら自覚できる。でも読書は「良いこと」なので、依存が見えにくい。

読書は「消化(反芻)」がなければ、頭を詰まらせる

ショーペンハウアーは、読書を「精神の食物」みたいに扱い、消化の問題として語ります。
ここがノウハウコレクターに直撃します。

  • 食べる量が増えても、消化できなければ栄養にならない
  • むしろ食べ過ぎは体調を崩す
  • 同じように、読む量が増えても、反芻がなければ知恵にならない
  • むしろ読み過ぎは頭を詰まらせ、動けなくする

読むだけで満腹になってしまう。
でもその満腹は「やった気」なだけで、筋肉にはならない。


そして彼は、精神の食物は吸収されるのがせいぜい5分の1だ、ということを言っています。
これは奇しくも、パレートの法則(80:20の法則)にそのまま接続できます。


だから必要なのは「もっと読む」じゃなく、「消化の仕組み」。
消化とは、難しいアウトプットではありません。小さな反芻で十分です。

  • このノウハウの前提は何?(自分はこのノウハウで何を得ようとしている?)
  • 合わないなら、どこを変える?
  • いちばん小さく試すなら何?

この問いが、読書を「消化不良」から「良質な栄養摂取」に戻します。

彼が強調する「読まない技術」——選択の技術は、現代でこそ効く

ショーペンハウアーが現代に刺さる最大の理由は、情報爆発です。
彼は大量の本(=大量の情報)に対して、ただ読むよりも、読まないことを重視します。

いわゆる the art of not reading(読まない技術)。

現代だと、これがそのまま置き換わります。

  • 新しいノウハウ
  • SNSの改善案
  • 最新テンプレ
  • 伸びている人の動画
  • バズりの施策
  • 「これを逃すと損」という煽り文句

全部追いかけると、頭は常に未完了になります。
未完了は不安を生み、不安はノウハウを呼ぶ。


彼はさらに厳しく、悪い本は「知的な毒」だと言い切ります。

「質の低いノウハウ」は、時間を奪うだけでなく、意思決定能力そのものを削る。


彼が毒という言葉を使うのは、読者に「選ぶ責任」を取り戻させるためです。


ノウハウコレクターが抜けられないのは、情報が多すぎて選べないから。
だから彼は、選ぶ技術=読まない技術を提案します。

読書は悪ではない。ただ「安心の代替行為」になった瞬間、現実が止まる

ここまでの議論を、一度まとめますね。

  • 読書(インプット)は必要
  • ただし反芻(消化)とセットでないと、知恵にならない
  • 情報が多い時代ほど読まない技術が重要
  • 読書が“安心の代替行為”になった瞬間、現実が止まる

ノウハウコレクターは「自分が弱いから」ではなく、読書の構造として当然起きうる現象なのです。

意識的に反芻して自分の言葉に落とし込む作業をしないと、「安心の代替行為」としての読書を延々繰り返してしまうのです。

80:20(パレートの法則):努力を増やすのではなく「成果に効く場所」に移す

私たちはすでに多くの努力をしています。

それをほんの少し努力の配分を変えることで見える世界が変わってきます。

なぜ80:20が効くのか

ノウハウコレクターの本質は、「努力しているのに成果が出ない」ではなく、
努力が、成果に効きにくい場所に偏っている
だから努力量を増やすほど苦しくなる。

80:20はここで効きます。

  • 成果の80%は、行動の20%から生まれやすい
  • 行動の80%は、成果の20%にしか効かないことがある


この前提を置くと、「もっと頑張る」ではなく「どこに頑張りを置くか」が主役になります。

ノウハウ収集が「効きにくい80%」になりやすい理由

ノウハウ収集は努力感が出るのに、成果に直結しにくい。

  • 行動しなくても達成感が出る(読んだ、学んだ)
  • すぐできる(今この場でできる)
  • 失敗しない(傷つかない)
  • でも現実の反応が返ってこない(確定情報が増えない)


つまり、

安心を得るには効率がいい。成果には効率が悪い。


だから配分を変える必要がある。

「分かった」は、行動の前じゃなく後に来る

しばしばゲーテの言葉として、こんな一文が引用されます。

“Knowing is not enough; we must apply. Willing is not enough; we must do.”
(知っているだけでは足りない。適用しなければならない。意志だけでも足りない。実行しなければならない。)


そして、アリストテレスはもっとシンプルです。

“For the things we have to learn before we can do them, we learn by doing them …”
(やる前に学ぶ必要があることは、やりながら学ぶ)


「やってみないと結局わからない」を先に受け入れると、ノウハウ集めの焦りが少し減ります。


ここで大事なのは、“理解が完成したら行動”という順番をやめること。
理解は行動の後に育つ。だから理解を増やすより、理解が育つ条件(小さな実行)を先に作る。

外部反応がないと、確定情報が増えない(=周回が終わらない)

周回が終わらない理由は、意外とシンプルです。
外部反応が入っていないからです。

頭の中で考えているだけだと、情報は増えているのに「確かさ」は増えません。
なぜなら、確かさは“世界に触った結果”としてしか生まれないから。

  • 外部反応=世界から返ってくる返事(クリック、返信、失敗、手応え、数字、相手の表情)
  • 確定情報=その返事から得られる「次の一手を決める材料」(仮説が当たった/外れた、どこがズレたか)

たとえば「ブログを始めたい」と思って、ずっと記事の書き方を調べている状態。
この時点で増えているのは“知識”だけで、確定情報は増えていません。
なぜなら、実際に1本出してみて、

  • 読まれるのか
  • どの見出しで離脱されるのか
  • どのテーマが刺さるのか

といった外部反応を受け取っていないからです。

外部反応がない → 確定情報が増えない → 次の一手が決まらない → さらに調べる
これが「止まってないのに景色が変わらない」周回の正体です。

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第一宇宙速度第二宇宙速度

ここまで、「周回」「外部反応がない」「確定情報が増えない」という状態を整理してきました。

ノウハウコレクターにおける周回の厄介さは、下記のようなモデルです。

  • 頭の中では奔走しているのに
  • 外部反応(世界からの返事)が入らず
  • 確定情報(次の一手を決める材料)が更新されない


だから「何が正解か」を頭の中だけで決められず、また調べ直しに戻ってしまう。


この状態をうまく掴むために、物理の比喩をひとつ借ります。


物理には「第一宇宙速度」と「第二宇宙速度」があります。

第一宇宙速度は、地球の重力に引かれながらも“落ち続けることで”地球の周りを回り続けられる速さ。

第二宇宙速度は、地球の重力を振り切って、重力圏の外へ脱出できる速さです。


この2つを、いまの「学んでいるのに動けない」状態に置き換えると、かなりはっきり見えてきます。

第一宇宙速度は、不安の重力に引かれながら落ちないように周回する速度。

第一宇宙速度(周回)=頭の中で回り続ける状態

ノウハウコレクター状態は、止まっているわけではありません。
むしろ動いています。

  • 調べる
  • 理解する
  • 体系化する
  • 比較する
  • けれど現実の反応が返ってこない
  • だから1.へ戻り、また調べる

これが、頭の中の「周回」です。

第一宇宙速度の衛星は、重力に引かれて落ち続けている。
でも十分な横方向の速度があるから、地面には落ちず、ぐるぐる回り続ける。

ノウハウコレクターも似ています。

  • 不安(重力)に引かれて「このまま動いたら失敗するかも」と落ちそうになる
  • そこで「もっと調べれば安心できる」という横方向の運動が始まる
  • 結果、落ちずに済むかわりに、同じ軌道を回り続ける

ここで一つ、希望があります。

周回できるだけのエネルギーは、すでに出ている。つまりあなたは無力じゃない。

問題はエネルギーの有無ではなく、そのエネルギーが“現実を変える方向”に使われていないことです。

そして、その「現実を変える方向」を決める鍵が、外部反応と確定情報です。

  • 外部反応=世界から返ってくる“観測”
  • 確定情報=観測によって得られる“航法データ(次の一手を決める材料)”

衛星やロケットは、ただ速く動くだけでは目的地に行けません。
「いまどこにいるか」「どれだけズレているか」「どっち向きに加速すべきか」を測る観測が必要です。

行動も同じで、頭の中だけで最適化していると、観測が入らない。
観測が入らないから、確定情報が増えない。
確定情報が増えないから、いつまでも「もっと調べないと」が終わらない。

だから外部反応と確定情報は、周回を抜けるための測位そのものなんです。

第二宇宙速度は、その重力圏を脱出して自分で進路を決められる状態へ移る速度。

第二宇宙速度の比喩が一番効くのは、「地球の重力を振り切る」という点です。
ここを、ノウハウコレクターの状態に照らし合わせます。

あなたを引っ張り戻す重力は、たとえばこういうものです。

  • 失敗したくない(サンクコストが膨らんでいる)
  • まだ準備が足りない気がする
  • 完璧にしてから出したい
  • 間違えたら恥ずかしい
  • だから、もう少し調べよう(安心に戻る)

これは気持ちというより、かなり強い力学です。
一度その軌道に乗ると、自然に元の周回へ引き戻される。
だから、脱出は意志の問題というより、設計の問題になります。

第二宇宙速度の脱出は、「別世界の才能」ではありません。
第一宇宙速度の延長にあります。違いはたったひとつ。

加速の“向き”が変わること。

頭の中で加速しても、周回は強化されるだけです。
でも、外へ向かう方向にわずかに加速が乗ると、状況が変わります。

行動に置き換えると、こうです。

  • 小さく試す(外へ向けて一歩だけ出す)
  • 外部反応が返る(観測が入る)
  • 確定情報が増える(航法データが手に入る)
  • 次の一手が決まる(迷いが減る)
  • 周回が弱まり始める

ここで言いたい核はこれです。

第二宇宙速度は第一宇宙速度の「延長」にある。別物ではない。
加速(噴射)の向きを、わずかに外向きへ変えるだけでいい。
その差が、周回を脱出に変える。

もちろん、現実のロケットのように一瞬で宇宙へ、とはいきません。
でも心理の重力は、外部反応が入り始めた時点で、確実に弱まります。
なぜなら、頭の中で想像していた不安が、「データ」に置き換わるからです。

行動できるようになるとは、気合いが増えることじゃない。
世界からの反応が返ってくる状態に、自分を置けるようになることです。
それができた瞬間、あなたはもう「周回しかできない人」ではなくなります。

第二宇宙速度に必要なのは「大きな勇気」じゃない。「行動の最小化」

ここまでをまとめると、私たちが抜け出したいのは「周回そのもの」ではなく、周回へ引き戻す重力です。
そして、その重力の正体は「不安」や「完璧主義」や「失敗回避」といった感情だけではなく、サンクコスト効果も含めた力学でした。

だから対策も、根性論ではなく力学的になります。

  • 重力が強いなら、いきなり大きく跳ぶのは無理
  • 跳べない自分を責めるほど、さらに重力が増える
  • なら、必要な推進力を最小で済むように設計する

ここで重要なのは、第二宇宙速度(脱出)を「一発の大勝負」だと誤解しないことです。
大勝負に見えると、行動はまた“賭け金”になります。賭け金になった瞬間、あなたの脳は安全側(周回)に戻そうとする。

だから、脱出はこう再定義します。

行動とは「勝つ」ための一撃ではなく、
外部反応を取りにいくための最小の実験である。

  • 外部反応が返ってくる=観測が入る。
  • 観測が入ると、確定情報が増える。
  • 確定情報が増えると、迷いが減る。
  • 迷いが減ると、次の行動が軽くなる。


この連鎖が始まった時点で、重力は目に見えて弱まります。

つまり、第二宇宙速度に必要なのは「勇気の最大化」ではなく、行動の最小化です。
怖さをゼロにするのではなく、怖さがあっても実行できるサイズまで行動を削る。

ここから先は、そのための具体的な道具を3つだけ紹介します。

  1. 24時間ルール(インプット→1つだけ実装)
  2. 5分実験(行動を短くして着火率を上げる)
  3. 3行ログ(経験を自分専用ノウハウに変える)

この3つは、あなたの努力を否定しません。
むしろ、すでに周回できているエネルギーを、ほんの少しだけ外へ向けるための変換装置です。

基本原則:行動は「成果」を狙うな。「反応(データ)」を取りにいけ

ここでいう「行動」は、不必要に大きな根性試しではありません。
重力(不安)を弱めるため、データを取りに行くための観測。

観測が入ると、頭の中の不安は「確定情報」に置き換わります。
だから行動の目的は、成功ではなく反応(データ)を取ることです。

ノウハウコレクターの行動が止まる最大の理由は、行動が勝負になっているからです。

  • 出す=評価される
  • 失敗する=才能がない証明になる気がする
  • 間違える=時間を無駄にした気がする
  • だから行動は止まる

ここを変えるには、行動を(成功)「勝負」ではなく(反応取得)「実験」に再定義します。
反応が返れば確定情報が増える。確定情報が増えると迷いが減る。迷いが減ると次の行動が軽くなる。
この連鎖が「脱出」の正体です。

行動できるようになるとは、気合いが増えることじゃない。
世界からの反応が返ってくる状態に、自分を置けるようになることです。

24時間ルール:1インプット→1ミニ実装

ショーペンハウアーの反芻の話を、最も現実的な形に落とすとこれです。
インプットしたら、24時間以内に1つだけ試す。

  • 記事を読んだ → その中の1項目だけ試す
  • 動画を見た → 同じ操作を3分だけ再現
  • 本を読んだ → 1行だけ自分のケースに当ててみる

ここで「全部やる」は禁物。
全部やろうとすると、また周回の言い訳(もっと調べないと)が増えます。
1つだけなら脳が怖がらない。怖がらないから点火できる。

「1つだけ」は、推進力を増やす工夫ではなく、重力に負けないサイズに落とす工夫です。

5分実験:行動を「短く」して、着火率を上げる

第二宇宙速度に必要なのは、派手な打ち上げじゃありません。
小さくても確実に観測が入る噴射です。

ノウハウコレクターは、行動のサイズが大きくなりやすい。
大きいほど怖い。怖いほど止まる。だから、こちらから短くします。

5分実験の手順

  1. タイマーを5分にセットする
  2. 今日試すことは1つだけ
  3. 5分でできない日には「さらに短くする(代替手段を用意する)」
  4. うまくいかなくてもOK(観測が入ったら成功)

ポイントは「やりきる」ではなく、「確定情報を増やす」こと。
失敗が怖くなくなるのは、失敗がデータになるからです。

5分でいいのは、成果を小さくするためじゃなく、
観測の回数を増やして航法データを蓄積するためです。

3行ログ:行動を「自分専用ノウハウ」に変える

ノウハウコレクターは、ノウハウを集めているのに自信が増えません。
なぜなら他人のノウハウは、「自分にも効く」という確証にならないから。
確証を作るのは、自分の実験ログだけです。

外部反応は観測ですが、観測しただけでは散らばります。
それを次の一手に変えるには、航法データ(=確定情報)として記録する必要がある。

3行ログ

  • やったこと
  • 起きたこと
  • 次に1つ変えること

このログが増えるほど、「次はここを少し変える」という操縦の確かさが生まれます。
そしてあなたは、ノウハウの消費者ではなく、自分の経験を編集できる人になります。
編集できる人は、もう無限のノウハウを必要としない。

「読まない技術」を現代向けにする:ノウハウ摂取のルールを決める

ここはショーペンハウアーの章の「実装編」です。

ノウハウ摂取は上限を決めないと無限になる

情報の洪水は、脱出を邪魔する“外乱”です。
ここでは重力そのものを弱めるというより、推進力を奪うノイズを減らす話をします。

おすすめは時間上限の固定です。

  • 平日:インプット合計30分まで
  • 休日:インプット合計60分まで
  • それ以上は実験へ回す

これで「安心のための摂取」を切れます。

仕入れる前に「買う理由」を一行で言えるか

ノウハウを開く前に、これを自分に問います。
ノウハウを仕入れる前に一度だけ立ち止まるのは、ケチるためではありません。
どの方向へ加速するか(噴射の向き)を決めるためです。

  • いまの課題は何?(一行)
  • それを解決する仮説は何?(一行)
  • このノウハウは仮説検証に必要?(Yes/No)

Yesなら読む。Noなら閉じる。
このフィルターがあるだけで、情報が武器に戻ります。

つまずき別の処方箋

それでも不安が尽きないことは、非常に良くわかります…

それらの不安に対していくつか対策をお渡しします。

「もっと調べないと不安」→不安は情報不足ではなく未決定から出る

不安の正体が情報不足だと思うと、永遠に情報を足してしまう。
でも実際は、決めていないことが不安を増やします。

  • 調べ物は20分で打ち切り
  • その時点で暫定案を決めて5分実験
  • 実験結果で修正する

暫定でいい。暫定だから動ける。
「暫定で動く」は雑に生きることじゃなく、観測を入れて重力の正体を確かめるための賢い手順です。

「完璧にできないから出せない」→公開を勝負にしない

完璧主義は、あなたを守るための重力です。
だから克服より、重力(不安)があっても出せるサイズにする方が早い。完璧主義は能力ではなく防衛反応です。

傷つかないために、完成度を盾にする。

  • 公開=検証(反応回収)に再定義
  • 60点で出す
  • 反応で直す(ここで初めて努力が成果に結びつく)

「何をやればいいか決められない」→成功確率ではなく着手確率で選ぶ

悩む人ほど「成功しそうなもの」を選ぼうとします。
でも成功しそうでも着手できなければ意味がない。

  • 一番小さくできるもの
  • 一番恥が少ないもの
  • 一番短時間で終わるもの

着手できることが正解です。
着手できるものを選ぶのは妥協ではなく、推進力が最小で済む軌道変更です。

まとめ:あなたはすでに周回している。だから、あと少しで脱出できる

最後に核をまとめます

  • ノウハウコレクターは怠けではなく、防衛反応
  • 準備が賭け金化するのはサンクコスト効果
  • 読書が思考の外注になると周回が強化される(ショーペンハウアー)
  • 読書は反芻(消化)がセット。量より実験
  • 情報が多いほど「読まない技術」が効く
  • 80:20で、成果に効く20%(小さな実行)へ配分を寄せる
  • 「分かった」は行動の後に来る
  • 第一宇宙速度=頭の中の周回、第二宇宙速度=行動で脱出
  • 第二宇宙速度は別物じゃない。同じ努力の加速(配分)の差

この記事を通じて今日やることはこれだけ!

  • インプットしたら24時間以内に1つだけ試す
  • 5分実験で短く触れる
  • 3行ログで自分の知恵に変える

観測を1回入れる(5分実験)→ 航法データにする(3行ログ)→ 次の噴射を1つ決める。
それだけで、周回は周回のままでは終わらなくなります。

小さな一歩から、第二宇宙速度へ。自在に手を動かせる自分へ成長していこう。

この記事をもって、少しでも手が動かせる人が増えたら管理人にとって幸せでなりません。

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